権利関係等の確認
借地権付建物を購入する際には、所有権付建物よりも多くのチェックが必要となります。
インターネット等に掲載されている物件情報には記載されていない事項も数多くあります。ここではトラブルを未然に防ぐためのチェックポイントを解説します。
(1) 土地所有者(地主)は誰か
借地権の設定されている土地の地主は、その地域に多数の土地を保有しているケースが少なくありません。いわゆる大地主と言われる人々です。また神社や寺などが地主というケースも多々あります。
当然の事ながら土地の所有権は登記されていますので、土地の登記簿謄本を見れば、所有者はわかるはずです。しかし、何代にもわたって相続を繰り返してきた土地の場合には、相続登記がなされずに、先代のままである場合も少なくありません。
借地権付建物を銀行融資によって取得する場合には、土地の登記簿謄本の提出を求められ、さらに地主に対して融資の承諾をも求められます。謄本に記載されている者と現在の所有者(地主)が異なる場合には、銀行は登記名義人と所有者を一致させることを求めてきます。
遺産分割がもめている場合などは、相続登記ができず、登記名義人と所有者を一致させることが難しくなります。その場合には融資での購入ができなくなりますし、現金で購入できたとしても、将来において借地権付建物を売却することが困難になります。
(2) 借地権者(売主)は誰か
一般に借地権は登記されることが少ないため、建物の登記で借地権者を確認します。建物が古い場合には建物の相続登記がなされておらず、親の名義のままということが多々あります。建物の相続登記が未了の場合には、建物の所有権移転登記ができません。
土地の場合と同様に建物の登記名義人と借地権者が一致しているか否かのチェックは欠かせません。
(3) 土地に抵当権が設定されているか
何らかの理由で土地に抵当権が設定されているケースがあります。地主が約定通りに返済を継続していれば、何等問題はありませんが、抵当権が実行されて、土地(底地)が競売に出されてしまうなどの事態が発生した場合には、厄介なことになる可能性があります。
また、地主の資金繰りが苦しい場合には、地代の値上げ請求がなされるということも想定できます。しかし、事態を逆にとらえて、土地(底地)を売却してもらえる可能性があるととらえる人もいます。
抵当権の設定額が土地の評価から見て、過大な場合には、近い将来において抵当権が実行されるリスクがあり、借地権の購入をみおくったほうが賢明という考え方が一般的です。