塀上に設置された境界標には要注意

職業柄、境界標には細心の注意を払うようにしています。しかし、恥ずかしながら、拙宅の敷地の境界標への注意を怠りました。写真は拙宅と隣地との間の境界標です。写真の手前が拙宅の敷地で、万年塀の奥が隣地です。写真(上が北です)のとおり、東西の万年塀は隣地所有者のものです。万年塀は高さが180cm程度あるため、このままの状態だと建物を新築する際の建築確認申請がおりません。したがって、建物の建築工事の着手前に、万年塀を撤去して、ブロック塀とフェンスを設置することになり、隣地所有者からその旨の説明がありました。その後、工事業者が挨拶にきて、万年塀が撤去されました。その日の翌朝に、現場を見ると、万年塀上の境界標(プレート)が取れていました。周辺を探しましたが、全く見つかりませんでした。その後、1週間程度、新設の工事は行われず、突然、工事が再開されました。たまたま在宅していた私は、工事業者をつかまえて境界標の件を問いただしました。すると「境界標(プレート)は自分たちが工事をする前に無くなっていた。ここ(拙宅の敷地)に境界標があるので、それを基準にして新たなブロック塀を設置する。この境界標は、新築(私の家は昨年の11月に新築)の際に設置されたものと思う」との回答がありました。見たことがない場所に見覚えのない境界標が設置されています。私は自身の記憶にない境界標だったので、拙宅を建築したハウスメーカーに確認したところ、そんな境界標は設置していないとの回答をえました。
ようやく事態が理解できました。前記した外構業者は、万年塀の撤去前に境界プレートをはずし、自分たちの都合の良いように勝手に新たな境界プレートを設置したのではないかと思いいたりました。境界プレートは従前と同様に矢印のものですが、向きが正反対で位置もでたらめでした。さっそく、隣地所有者に事態を説明し、後日、建築士と外構業者を依頼した工務店の担当者と現地を確認し、もともとの境界標を設置した土地家屋調査士に境界標の復元を依頼することになりました。当日は全員が立ち会ったのですが、謎の新設境界標(プレート)を撤去した家屋調査士は、このプレートは万年塀上に設置してあったものだと断言しました。
私が思っていたとおり、すべては外構業者の仕業だったわけです。今回は隣地所有者が理解のある方で、家屋調査士に依頼して境界標を復元できましたので、問題は解決できましたが、そうではない場合には、混乱の元になります。
塀上にある境界標には、細心の注意を払うべきという事例として紹介いたしました。
また境界標はできるだけ写真を残しておくことが肝要です。

お気軽に、お問合せ・ご相談ください

首都圏の借地権の問題解決は、この道32年の専門家・国土地所にお任せください!