建物が老朽化しており、買い手がつくのか不安
借地上に建っている建物は昭和20年代、30年代に建築されていることが珍しくありません。建物と共にそこに居住している方々が高齢化されていることも一般的です。借地で育った子供世代の方々はそこを巣立って他地域の戸建住宅やマンションを購入し、借地に残った親世代が居住し続けるというパターンです。
当相談室に寄せられる相談でも、残された親が住む借地権付建物の処理に関する事項が少なくありません。中には親が亡くなった後に、借地権付建物が相続で共有状態となり、空き家状態のまま、地代と建物の固定資産税を払い続けるというケースも数多く見受けられます。更地にして地主に返そうと思うのだが、解体費が捻出できないので、そのままにしているという方もいます。
前述しましたとおり、借地権は諸条件が整えば、値段のつく財産になります。
老朽化した借地権付建物を購入する方は建物を解体して、自身の住宅を新築します。したがって、建物を建築できる借地権(建築基準法上の道路に2M以上接道していることが条件)であれば、買い手が現れる可能性はあります。昨今は再建築不可であっても、老朽建物を改築(いったん不動産業者が買い取って改築というパターンもあります)して居住というケースも少なくありません。
老朽化した借地権付建物を売却する場合の経費として建物解体費と名義変更承諾料がありますが、売主負担となることが一般的です。前者は建物規模によりますが100万円~300万円程度で、後者は売却価格の10%程度が相場になります。そして建物の再建築承諾料は買主の負担となり、更地価格の3~5%程度が承諾料の相場(条件変更がない場合)となります。
借地権付建物を第三者に譲渡する場合には、予め地主にその旨を伝え、承諾を得ておく必要があります。経験豊富な専門の不動産会社に交渉を委任されることをお勧めいたします。