人気住宅地の借地権を売却し、好立地のマンションへの住み替えに成功
- 【時期】
- 令和3年4月
- 【分類】
- 借地権の売買
- 【場所】
- 都内M区
- 【内容】
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当サイト「借地権者の相談室」には様々な問い合わせがありますが、高齢の親を心配したお子様から連絡をいただくケースが増えています。A様(80歳の女性)の場合もそのケースでした。相談室を訪問されたA様もお子様も実年齢よりも若く見え、はつらつとしていました。しかし、面談中に時折不安げな様子を見せ、悩みの深さを感じ取ることができました。
A様は都内屈指の人気の住宅地にある借地権付き建物に一人住まいです。相談当時は、居住後39年を経過しようとしていました。A様は不動産事業を営む弟が分譲した新築戸建住宅を購入し、子供3名を育て上げました。やがてお子様はそれぞれ独立し、2名は都内に1名は近県に居住しています。2回目の更新を迎えるにあたり、地主から依頼された地元の不動産会社B社から案内がありました。底地を購入しないかとの提案内容で、坪単価400万円近くで、底地権割合を50%として計算された金額でした。ちなみに当該地の路線価図に示された借地権割合は70%です。また当該地は位置指定道路の突き当りに位置しています。主な収入源が公的年金であるA様には底地を購入する資金余力はありませんでした。また提示された底地の金額は、相場よりもかなり割高でした。
それから半年が経過すると、B社から新たな提案がありました。借地権付建物を購入したい戸建分譲業者が現れ、前記の底地価格より25%ダウンした金額で借地権を売って欲しいという内容でした。路線価評価額よりも1000万円程度低い金額でした。A様がB社に確認したところ、戸建分譲業者は底地も同時に購入したいとのことでした。その場合、借地権と底地の配分を5:5ではなく、6:4(地主への名義変更承諾料を考慮して)にすべきと主張したところ、B社からの再提示額は200万円上昇しました。しかし、それでもなお、路線価評価額よりも800万円ほど低い価格で、A様が納得できる水準ではありませんでした。
そこで当社がB社と交渉をし、借地権と底地を一般消費者に同時売却し、配分を6:4にすること、売却時期が更新時期を経過した場合も更新料を請求しない旨の覚書を締結する運びとなりました。都内屈指の人気の住宅地ゆえ、さほど時間がかからずに売却できると思われましたが、位置指定道路の突き当りで駐車が困難なことがネックとなり、売り出しを開始してから1年以上が経過してしまいました。しかし暮れも押し迫った昨年12月の中旬に突然、買い手が現れました。隣地(同様に借地権付建物)と一緒に購入し、アパートを建築したいとのことでした。ある資産家が駅から徒歩5分程度で入居者確保が容易と判断して、現金で購入したいという申込書を提出したのです。金額もほぼA様の希望額に達しており、前記の戸建て分譲会社が提示した金額を1100万円上回っていました。クリスマスを過ぎた年末に売買契約を締結することができ、A様は不安を抱くことなく、正月を迎えることができました。
売買契約にあたって買主に対し、A様が住み替えをするための期間を4か月猶予していただくこと、決済後1週間後に建物を引き渡すことを要望し、認めていただきました。次は住み替えマンションを探すことになります。A様は同一区のマンションへの住み替えを希望しました。理由はシルバー事業団の仕事を継続したいことでした。またマンション購入をした後に手元に千数百万円を残すことを希望されました。都内屈指の人気の住宅地ゆえ、マンション価格も高く、希望条件を満たすことは至難の業と思われました。それでも何軒かマンションを内覧しましたが、A様の要望を満たすものはありませんでした。住み替えの期限2か月を切ったある時に、偶然リノベーションマンションが目にとまりました。A様の要望と面積、ロケーションは異なっていましたが、金額は満たしていました。A様に現地を見ていただくと、すぐに気に入っていただき、1週間以内にお子様にも見ていただき、買受申込書を提出しました。人気があるマンションは、購入申し込みをしても買えないケースが多々ありますが、運よく若干の割引というおまけ付きで、購入可能となり、売買契約を締結いたしました。
次は引っ越しの準備です。A様が40年間居住した戸建には荷物が山のようにありました。そんな中、無事に売却の決済を終え、その翌日はマンション購入の決済も終了しました。そこから1週間でいよいよ引っ越しとなります。お子様に片付けを手伝っていただだきましたが、引っ越し前々日となっても多くの荷物が残っており、当方も処分及び引っ越し準備のお手伝いをさせていただきました。A様も老体に鞭を売って連日の準備に励まれ、GW中に無事に引っ越しを終え、マンションへ転居することができました。そしてGW明けに売却物件を買主に引き渡すことができました。家の中にはまだ残置物がありましたが、処理業者に運搬していただき、やっと空となりました。その足で区役所に行き、住居の移転届等の手続きを済ませました。
それから2週間が経過した今週、A様の移転先マンションを訪問し、踏み台をプレゼントいたしました。リノベーションマンションゆえ、洗面所、風呂、トイレの水回りと部屋に段差ができているため、ステップ台があったほうが動きが楽と判断したからです。A様には大変喜んでいただきました。またワクチン接種も新居から徒歩3分程度の場所で予約がとれたとの報告もありました。結果的にA様の要望を全て満たすことができました。
最初の面談から2年が経過しましたが、当方はA様の安住の地を確保することができ、安堵いたしました。諦めずに求め続けることの重要性を身に染みて感じたしだいです。
皆様にも借地権だからと言って売却を諦めずにトライされることをお勧めいたします。ただし、借地権の処理は経験のない者が担当しても上手くいかないケースが多いです。経験のある専門家に依頼することをお勧めいたします。
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