いくらで売れるのかわからない
当相談室にお問い合わせをいただく方々の中には、そもそも借地権は地主との土地賃貸借契約から生じた架空の財産であり、借地権に財産価値はないと考える方々が少なくありません。一面では的を得た考え方ではありますが、諸条件が整えば、価値が生じる財産になりえます。
市街化区域内に存在する土地上にある借地権であれば、国税庁が公表している路線価図に基づいて理論価格を算出することができます。
仮に路線価が250,000円/㎡で借地権割合が60%(路線価図ではDと表記)で、借地の面積が100㎡の場合の借地権価格は以下の計算式で求められます。
250,000円/㎡×60%×100㎡=15,000,000円
一般に路線価は時価の8割と言われていますので、上記の価格を0.8で割り戻しますと18,750,000円と計算され、これが計算上の時価となります。
果たして、この価格で第三者に売却できるのかと言われますと、YESの場合もあればNOの場合もあるとの回答と
なります。
建物の価値が第三者に認められない場合には、借地権の買主は建物を新築することになりますので、理論価格から建物解体費(建物の規模によりますが100万円~300万円程度)を減価した金額を買い希望価格として算定します。また、地形が悪かったり、借地の前面道路が狭かったり(4M未満)すると、それらが減価要因となり、価格はさらに下落します。
それ以上に価格に影響を与える要因として、地主との関係、地代水準があります。そもそも地主が借地権を第三者に譲渡することを承諾しない、承諾する場合であっても譲渡承諾料が高い(通常は借地権の譲渡価格の10%で、売主が負担)、地代が高い(都内23区の住宅地にある借地で、自己使用であれば固定資産税の3倍~5倍程度で坪1,000円以内)といった要因がある場合には、売却価格は理論価格よりも大幅に減額となってしまいます。
借地権は所有権の土地と異なり、価格の算定が非常に難しいことをご理解いただきたくお願いいたします。借地権付建物を売却する場合には、経験が豊富な専門の不動産会社に委任されることをお勧めいたします。