借地権と底地を第三者に同時売却(したいが可能か)
借地権の買い取りでも解説しましたが、底地と借地権の価格は単独の時よりもお互いに合算して処理できたときのほうが価格(価値)が上がります。
従って、同時売却という手法を採用できれば、借地権も底地も売却価格としては他の手法よりも高くなります。
ただし、この場合において借地権、底地の割合に関して、借地権者、地主間でもめることが少なくありません。
割合のベースとなるのは国税庁が公表している路線価図に記載されている借地権割合ですが、それに更新料の支払いの有無、権利金の授受の有無、借地権の残存期間などを勘案して、割合を決めていきます。
例えば、土地の売却価格が坪100万円で借地権割合が6割の土地があったとします。借地権者がこれまで更新料を支払わずに今日に至っている場合には、底地割合を1割加算して、底地権、借地権をそれぞれ5割である坪50万円で計算した価格とする考え方が登場します。また更新料を支払っている場合でも、地主は名義変更承諾料相当額として底地割合を1割加算することを求めるケースも多々あります。
この底地と借地権の同時売却という手法は、地主、借地権者の両者ともが売却を同意しなければならないため、タイミングが限られていると言えます。多くは賃貸借契約の更新時期であったり、地主・借地権者に相続が発生した時期です。タイミングがあえば、地主・借地権者の双方にメリットがあるため、双方はこの手法が可能か否かを検討すべきであると思います。
借地権者が自身の借地権を売却したいがために、いきなり地主に同時売却を求め、失敗したという例も見受けられます。地主は先祖代々の土地を売却するわけですから、売却することに納得できるような理由づけが必要です。単独で借地権を売却しようと思うが建物が老朽化していてなかなか買い手がつかない、もしくは売却を急ぐ特別な理由があるなど、窮状を訴えるなどして地主の理解を得る努力をする必要があります。
借地権者が地主に直接訴えることが難しいケースも多々ありますので、この種の経験が豊富な専門の不動産会社に交渉を委任されることをお勧めいたします。