借地権付収益物件の投資に関心のある方
ワンルームマンション及びREITへの投資は加熱状態
ロバート・キヨサキ著の「金持ち父さん貧乏父さん」という本が世に出て以来、不動産投資に対する関心が一気に高まり、不動産を何件も保有している人に出会うことが珍しくなくなりました。折からの年金不安が個人投資家特に30代~40代のサラリーマン層の背中を押し、今やワンルームマンションへの投資セミナー会場は満員札止めという状況を呈しています。また、ワンルームマンション以上に手軽に投資できる対象として東京証券取引所に上場している不動産投資信託(J-REIT)もたくさんの投資家から人気を集め、価格は上がる一方です。
東京23区の中古ワンルームマンションの表面利回り(年間家賃収入÷物件購入価格)の標準は5%~6%台と言われ、J-REIT の配当は3%~4%台となっています。我が国では相変わらず、低金利が継続していますので、金利が1%にも満たない定期預金などの金融商品と比較してワンルームマンションやREITの利回りは高いと言えますが、定期預金が元本保証であるのに対して、ワンルームマンションやJ-REITは元本保証ではなく価格は変動します。
首都圏のワンルームマンションの価格は新築時を100とすると、15年後には4割減の60になり、20年後には30程度にまで下落するという統計データがあります(東京カンテイ調査)。J-REIT は昨年後半から急上昇していますが、2011年初から2012年初にかけて30%近く下落しています。したがって売却時期等の条件によっては譲渡損が発生し、定期預金よりも高利回りと言い切れなくなります。
それではより効率の良い不動産投資をするにはどうしたら良いでしょうか?それは条件の良い収益物件(価格が周辺相場よりも安い、駅に近い、地形が良い、建物が築浅で間取りが良い、家賃が周辺相場よりも高く稼働率も高い等)を探して買うことだと思いますが、そういう物件は果たして見つかるでしょうか?好条件の物件ほど世に出にくいものです。売主は好条件の物件ほど強気な価格設定をしますので、買主の希望条件では入手しにくいものです。そこで、ある投資家の一群は他者が敬遠するボロ物件と呼ばれるものを好条件の物件に再生して運用することを行っています。ネットの世界でもその種の成功談が掲載されていることが多々ありますが、これも全員が成功するわけではありません。
当方が着目しているのは権利が付着しているが故に時価が理論価格よりも低い借地権付建物での運用です。借地権付建物を買い取って、建物を新築する、もしくは建物をリノベーションして運用するというプランです。下記の物件で具体的に数字を検証してみましょう。
【23区の住宅地に存在する土地付戸建住宅】
権利:所有権
土地:40坪
建物:30坪、築50年で4LDK
接道:4mの公道と4mの私道に接する角地
用途地域:第一種住居地域
建蔽率・容積率:60%/200% (注)建蔽率は角地加算で60→70%
立地:最寄私鉄駅から徒歩6分
購入価格:4,000万円
上記物件を収益物件として運用するために建物を解体してアパートを建築するプランを立案してみます。
新築アパートの概要
建築費:3,360万円
建築面積:56坪
構造:木造2階建て
間取り:18.51m²のワンルームが8戸
予定賃料:月額6万円×8戸=48万円
既存建物の解体費用を150万円と見積もり、新築アパートとして運用した場合の表面利回りを計算してみます。
48万円×12か月÷(4,000万円+150万円+3,360万円)=7.67%
中古のワンルームマンションの表面利回りよりは多少高いと言えますが、それほど魅力的な数字とは言えません。
もし、上記の物件を借地権付戸建住宅として購入したらどうなるでしょうか。
【23区の住宅地に存在する借地権付戸建住宅】
権利:借地権
土地:40坪
建物:30坪、築50年で4LDK
接道:4Mの公道と4Mの私道に接する角地
用途地域:第一種住居地域
建蔽率・容積率:60%/200% (注)建蔽率は角地加算で60→70%
立地:最寄私鉄駅から徒歩6分
借地権割合:60%
月額地代:32,000円
借地の契約期間:新規20年間
購入価格:1,800万円
(注)借地権付建物は所有権価格×借地権割合(理論価格)よりも価格が安くなる傾向に
あります。本物件は建物が老朽化していますので、理論価格の25%安です。
この物件を取得後に建物を解体して、所有権の場合と同様のアパートを建築して運用することを考えます。
その場合の運用表面利回りを計算してみます。
借地権の譲渡には譲渡承諾料が、建物の建替えには建替え承諾料を地主に支払うことになりますが、譲渡承諾料は売主が負担しますので、買主は建替え承諾料(ここでは200万円として計算します)のみ買主が負担します。
(48万円×12か月-3.2万円×12か月)÷(1,800万円+200万円+150万円+3,360万円)=9.76%
と計算されます。
所有権の場合の7.67%と比較して2%以上も利回りは上昇しています。しかも投下資金は所有権と比較して2000万円も少なくてすみます。23区内において新築の収益物件で10%近い利回りを実現することはなかなか容易ではないと思われます。借地権であるが故の高利回りと言えるでしょう。
所有権と借地権で運用した場合の比較表
所有権 | 借地権 | |
---|---|---|
購入価格 | 4,000万円 | 1,800万円 |
建物解体費 | 150万円 | 150万円 |
建替承諾料 | 0万円 | 200万円 |
アパート建築費 | 3,360万円 | 3,360万円 |
年間賃料 | 576万円 | 576万円 |
年間支払地代 | 0万円 | 38.4万円 |
表面利回り | 7.67% | 9.76% |
仮に上記の物件で建物を壊さずにシェアハウスとしてリノベーションすることを考えた場合には運用利回りはどうなるでしょうか?
リノベーション費用:800万円
予定賃料:月額33万円(5.5万円×6室分で運営会社に一括賃貸)
所有権の場合の表面利回り
(33万円×12か月)÷(4,000万円+800万円)=8.25%
借地権付建物の場合の表面利回り
(33万円-3.2万円)×12か月÷(1,800万円+800万)=13.75%
(注)改築に関する承諾料の支払いは地主との個別交渉になりますが、上記ケースでの改築は建物内部の改築にとどめたので、ここでは0円として計算しました。
アパートを新築する場合以上に利回りに差が出ました。こと収益率を高めるという目的を追求するのであれば、所有権にこだわる必要はなく、借地権のメリットを活かす方が賢明と言えます。しかし、借地権での運用にはデメリットもあり、以下に列挙いたします。
(借地権のデメリット)
- 所有権と比較して融資がつきにくい。また融資を受ける際には金融機関は地主に対して承諾書への署名捺印をすることを求めるので、地主の了解が必要になる。
- 借地の更新時(非堅固建物は20年間、堅固建物は30年間)に更新料を支払わなければならない。
- 建替えや増改築時には地主に承諾料を支払う必要がある。
- 譲渡時には承諾料(一般的には譲渡価格の10%程度)を地主に対して支払う必要があるので、所有権と比較して譲渡価格が安くなる。
- 地主から地代の増額を要求される可能性がある。
借地権での運用のメリットは以下のとおりです。
(借地権のメリット)
- 所有権と比較して購入価格が安くなり、人気がないため物件を吟味できる。
- 所有権と比較して運用利回りが高くなる。
- 借地の契約期間内に地主に相続が発生した場合には、底地を理論価格よりも安く購入できる可能性がある。
- 土地の固定資産税、都市計画税を支払う必要がない。
借地権付収益物件の価格は利回りをベースに考えられますので、収益管理がしっかりしていれば、借地権だからという理由で所有権と比較して譲渡価格が著しく低くなるとも言い切れません。所有権の場合と同様に、その土地にあった有効活用は何なのか、アパートか、高齢者向け施設か、ガレージハウスか、デイサービスか、賃貸マンションかなどの用途を見定める必要があります。
一般に地主は土地を貸す場合において、借地権者が自己居住用として建物を使用することは認めますが、賃貸用の建物として使用することを嫌がる傾向にあります。また建替えそのものを拒否する地主も少なくありません。
したがって、借地権付建物を購入したものの、賃貸住宅を建築できずにトラブルになるケースもあります。借地権付建物を購入する場合には、借地権専門の会社に依頼すべきと考えます。リノベーションや建築も専門の建築士や会社に任せるべきです。最近はアパートが建築できない敷地延長地においても、集合住宅を建てて運用することを可能にした会社も出現しています。
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